放課後になれば、私は鞄を持って立ち上がる。
「あ、野村、お前今日日直だろ、この教科書資料室に持って行ってくれ」
「……はーい」
もう、なんて悪いタイミング。
「莉緒ー、帰ろうぜ」
「あ、孝先輩、私ちょっと今日日直で、雑用してくるので待っててください」
「ん、おっけ。じゃあ、自販機で飲み物買って、飲みながら待ってる」
そう言って、孝先輩は私の鞄の横に自分の鞄を置いて、財布だけ持って教室を出て行った。
早く、資料室に持って行っちゃお。
そう思い、教卓に置いてある教科書の山をみて、私は顔を歪ませる。
孝先輩に手伝ってもらえばよかった……。
こんな量、1人じゃ一回で持って行けないよ……。
はあ、とため息をつくと、二つにわけられた山が一つ消えた。
「え……?」
「手伝うよ、野村」
「前田くん! ありがとう!」

