「せん」
先輩、と呼ぼうとしたとき、予鈴が鳴った。
「やべっ、急ぐぞ、莉緒」
「あ……はい」
チョコレート……渡しそびれちゃった、な。
私は駆け足で教室に入り、自分の席に座って、グラウンドへと目を移す。
もう、雪、残ってないや……。
孝先輩と寝転んだグラウンドに雪はもうなくなっていて。
少し、寂しい気持ちになる。
いつから……だろうか。
いつも、ここにいるとき長谷川先輩をみていて、長谷川先輩のことばかり考えたのに。
いつから……
ここにいるとき、孝先輩のことばかりを考えるようになったのは。
メニュー