「ほい、これ」
「……なんの真似ですか」
そう言って渡されたのは、お昼休みに買えなかったホットココア。
「外寒いし、帰る前に温かいもの飲むのもいいだろ?」
私は、小さな声で「ありがとうございます」と言い、そっと受け取る。
「あ、お金……」
「お昼休みのお詫びだからいらない」
そう言って、缶コーヒーを買ってグッと口にした。
「お金はいらないからさ、俺のこと孝先輩って呼んでよ」
「嫌です」
「お前ね……そればっかりだな」
「普通に篠原先輩って呼びます」
だって、下の名前で呼ぶほど親しくないし……。
それに……。
「んーまあ、他に理由あるとしたら、長谷川先輩の下の名前だって呼んだことないから、とか?」
「ごほっ」
「お、当たり?」
「な、なんでっ」
驚く私を、篠原先輩はクスクスと笑う。

