バレンタイン当日、私は鞄にラッピングしたチョコを一つ入れ、いつも通り学校へ行った。
うーん……どうやって孝先輩に渡そうかな。
直接渡すのはなんか恥ずかしいし……無難に下駄箱の中に入れとこうかな。
そう思って、孝先輩の下駄箱を開け、私は顔を歪ませた。
孝先輩の下駄箱の中には、大量の可愛くラッピングされたチョコレート。
きっといつも遠くからみてる女の子からだろう。
そういえば、結城先輩言ってたっけ。
孝先輩ってすっごいモテるんだよね……。
かっこいいし、優しいからって。
優しい孝先輩のことだ。
直接渡されたら全部受け取ってるだろう。
「……どうしよ、かな」
せっかく孝先輩につくったんだけど……。
こんなにチョコあるんだし、いらないかな。

