昼休みになれば、私はいつも通り自動販売機へと向かう。
3年生の教室がある二階には、自由登校になった3年生はほとんどいなくて。
長谷川先輩の教室を覗いても、長谷川先輩はいない。
自動販売機でココアを買うと、「あれ、莉緒ちゃん?」と名前を呼ばれ、声がした方をみると、知らない男の人が立っていた。
「君、莉緒ちゃんでしょー!!」
「え……と」
だ、誰だろうこの人。
目に映る男の人は、私とあまり身長は変わらず、男の人の中では低い方で、目は女の子みたいにくりりんとしていて。
そっと下に目線を向けると、上履きは緑色。
孝先輩と同じ……。
「俺、井原祐介(イハラ ユウスケ)。祐介先輩って呼んで」
「え、いや……」
「莉緒ちゃんだよね? 孝からよーっくきいてるよ!!」
え?
孝先輩……?
その名前に反応したとき、井原先輩の頭が叩かれる音が響いた。

