冬休みが終わり、私は重い足取りで学校へと向かう。
「はあ……」
元旦のあの日から、先輩とは一度も連絡しなかった。
元々、連絡先は交換していなかったため、連絡しようと思ってもできなくて。
先輩に会いたいと思ったり。
だけど……会っても、何話せばいいのかわからなくて、会いたくないと思ったり。
もう一度ため息をついて、下駄箱で上履きへと履き替える。
「野村、おはよ。久しぶり」
そう声をかけられ、視線を移すと、前田くんが立っていた。
「あ、前田くん、おはよ」
「元気にしてた? っていうか、あの後大丈夫だった……?」
そう不安そうにきく前田くんに、私は優しく笑って返す。
「うん、もう平気」
「ほんとごめんな」
「いいって」
「……あの、さ、そのお詫びというか……」
前田くんはそう言いながら、鞄の中から映画のチケットを取り出した。