「家まで送る」
そう言って、先輩は歩き出す。
「……なんで、言ってくれなかったんですか」
「なんでって、莉緒が知っててプレゼント内緒で用意してくれてたかもしれないし」
「会ってまだ数ヶ月の人の誕生日なんか知るわけないじゃないですか」
「ははっ、うん、期待した俺がばかだった」
そう笑って、先輩は「でも」と付け出す。
「ほんとばかだった。莉緒の着物姿、期待以上で」
「なっ」
私の顔が熱くなる。
顔を真っ赤にする私を、先輩はケラケラと笑う。
「可愛いよ、莉緒」
「……先輩は、そういう風に可愛いとか簡単に言わない方がいいと思います」
「え、なんで?」
だって……。

