やっと賽銭する列に並べ、私は一呼吸する。
10分ぐらいで順番がまわって来て、私はそっと目を閉じて願った。
……長谷川先輩が大学受験、成功しますように。
「莉緒、終わったか?」
……あと、神様、願わくば……。
「……はい、遅くなってすみません」
孝先輩の手に引かれ、私はゆっくりと歩く。
「莉緒さ、俺の誕生日いつか知ってる?」
「えっ、知らないです」
「ははっ、だよなっ」
先輩はピタリと止まって、私を真っすぐ見つめる。
「今日」
「……へ?」
「12月31日が、俺の誕生日」
「えっ、えっ、ええええええっ」
「ははっ、すげーだろ」
すげーだろって……。
もしかして、だから……。
「だから、お願いって……」
「誕生日くらい、好きな女の子にお願いきいてもらいもんだろ?」
そうニッと嬉しそうな先輩から、私はそっと目をそらす。

