「頼むからっ、二度と……二度とこんな思いさせないでくれ……っ」

「孝、先輩……ごめん、なさい……」

時計を見れば、もう16時半を過ぎていて。
私は、ずっと眠ってたんだ。

それまで、孝先輩は、どんな想いでいたんだろう……。

そう思うと、私の頬に、冷たい雫が流れる。

「莉緒が倒れたとき、心臓止まるかと思った……。ほんと、頼むから無茶だけはするな」

「……うん、ごめっ、ごめんなさい……っ」

ギュッと、掴んだ孝先輩の方は少しだけ震えていて。

ねえ、孝先輩……どうして、先輩はそんなにも優しいの?
どうして、


こんなにも優しい温もりを……私なんかに向けてくれるの?



少しずつ感じてる、先輩の私への想い。
先輩は、すごく優しい人だって、もう知ってる。

でも……その優しすぎる想いに応えられないのが、とても苦しかった。