【完】あおいろ





「野村って、意外に鈍いよな」

そう恥ずかしそうに言う前田君に、私はさらに首を傾げる。

もしかして……なんて考えが頭に思い浮かぶけど、いやいやいや。
前田君は、1年生の中でも、結構かっこいいって言われていて、私だってかっこいいし、今だって優しいなって思う。
モテる理由はわかる。

そんな人が……ねえ。

ココアが飲み終われば、前田君と一緒に教室へと向かった。

「その……さ、野村って、篠原先輩とつき合ってるって、まじ?」

「あーそれねー、ただの噂だよ。孝先輩とはつき合ってなんかない」

「……孝先輩、ね」

「前田君?」

「いや、なんでも。そっか、よかったよかった」

そう笑う前田君を不思議に思いながら、私は「そういえば、お金」と小さく呟く。
そうだ、さっきホットココア……私は、もらったときお金払ってない。

「いいよ、そのくらい」

「だめだよ、ちょっと待ってね」

鞄から財布を取り出そうとしたとき、前田君が「ストップ」と私の動きを止める。

「お金はいらないからさ、その……今日、一緒に帰らない?」

「……え?」

「今日グラウンド雪で使えないから、急遽部活休みになったんだよ。だからさ、その……俺と、今日だけでも一緒に帰んない……?」

少し不安そうに、頬を赤く染めてきく前田君に、私も少し恥ずかしくなる。