【完】あおいろ






初めは、急に現れて、初対面なのに、人のお金で勝手にブラックコーヒーを買って。

最悪な人と知り合ってしまった、なんて思った。

でも……今日で少し、先輩のことを知れた気がする。


ほんと……先輩は不思議な人。
意地悪で、私をすぐに子供扱いする。

けど、それ以上に、とても……優しくて。


「わたし、今日ちょっと篠原先輩を見直したかも」

「ほーう?」

「これからも、よろしくお願いします。


孝先輩」



私がそう笑って言うと、先輩は目をまん丸にして、少し頬を赤く染めた。
そんな先輩に、私はクスクスと笑う。


ねえ、孝先輩。
絶対に言わないけど、今日の先輩、少しだけ……ヒーローみたいって思ったの。