初めは、急に現れて、初対面なのに、人のお金で勝手にブラックコーヒーを買って。
最悪な人と知り合ってしまった、なんて思った。
でも……今日で少し、先輩のことを知れた気がする。
ほんと……先輩は不思議な人。
意地悪で、私をすぐに子供扱いする。
けど、それ以上に、とても……優しくて。
「わたし、今日ちょっと篠原先輩を見直したかも」
「ほーう?」
「これからも、よろしくお願いします。
孝先輩」
私がそう笑って言うと、先輩は目をまん丸にして、少し頬を赤く染めた。
そんな先輩に、私はクスクスと笑う。
ねえ、孝先輩。
絶対に言わないけど、今日の先輩、少しだけ……ヒーローみたいって思ったの。

