「ごめん、ごめんな」
そう長谷川先輩は言いながら、私の頭を優しく撫でる。
「……ごめん」
先輩……そのごめんの意味は……?
……なんて、そんな野暮なことはきかないよ。
「野村、ありがとう」
思わぬ言葉に、私は思わず顔を上げる。
すると、先輩は優しく笑って言った。
「こんな俺を好きになってくれて、ありがとな」
そう笑う先輩を見て、私の瞳から大量の涙が溢れ出す。
困った顔なんて、見たくない。
だって、だって……私が好きな先輩は、
優しい笑顔だから。
ああ……わたし、この人を好きになって良かった。
この人に恋をしてよかった。
先輩を見てる時間は、無駄なんかじゃない。
辛かったけど、悲しかったけど、切なかったけど。
それでも、この人に恋をしていた時間は、無駄なんかじゃなかったって思うんだ。
