放課後、私はゆっくりと3年C組に向かう。
先輩帰ってたらどうしよう……。
……私も、帰ろうかな。
そんなことを思いながら、そっと教室のドアを開けた。
「おっす、野村」
「……こんにちは、長谷川先輩」
いつも通りの長谷川先輩の姿に、心がホッとする。
そのとき、後ろから「こんちはー」と篠原先輩の声が教室に響く。
「ちょっ、篠原先輩、ビックリさせないでください」
「ごめんって」
そんな風に楽しそうに笑う篠原先輩にため息をつきながら、私は、席に座った。
「長谷川先輩、今日クリスマスなのに結城先輩とデートしないんですかー?」
篠原先輩のそんな言葉に、思わず動きが止まる。
「ばーか、向こうは部活だっつの。まあ、ちょっと早く終わるみたいだけどさ」
ちょっと早く……か。
あとどれくらい、いるのかな。

