「え、あれ、本気だったんですか……?」

「当たり前だろ〜ってか、莉緒連絡先教えてよ」

「嫌です。篠原先輩に教えたら、なんか悪用されそうです」

「お前な……」

先輩の手からブラックコーヒーをとって、ふたを開ける。

「莉緒、飲めるの?」

「のどかわいてるのに、先輩がこれ押したからこれしか飲むものないんですよ」

そう言って、私はブラックコーヒーをグッと口にする。

「うっ」

「バーカ、無理するからだっつの」

先輩をキッと睨みつけると、前の方から私の名前を呼ぶ声がした。

「莉緒、おまたせ〜。あれ、その人が篠原先輩?」

「あーうん、そうこの人」

沙代が「ふーん」とにやにやしながらわたしを見る。

「莉緒、やっるじゃーん! こーんなイケメンを落とすなんて!」

「いや、そういうわけじゃ」

「もーいいなあ。あ、わたしおじゃまだし、先に教室いってるね!」

「え、ちょっ」

沙代は「がーんばってねー!」と大きく手を振って教室に戻って行った。