「莉緒は相変わらず隙だらけだな〜」

そう笑う先輩に、私は、ため息をついて、そっと自動販売機の前から離れる。

「先輩、何か用ですか」

「んだよ、その冷たい言い方」

「勝手にブラックコーヒー買われたら、誰だって冷たくなります!!」

「ふははは、っていうか、莉緒一ヶ月前に俺が言ったこと、覚えてる?」

「そんなの覚えてるわけ」

あ。
一ヶ月前……?

私の脳裏に、篠原先輩のある言葉が浮かぶ。

『んじゃ、クリスマス俺とデートな』