12月24日。
12月の恋人のメインイベント。

私は、沙代と廊下をゆっくり歩きながら、はあと上に息を吐く。

「校舎内でも、もう息白いよ〜」

「っていうか、莉緒は今日の予定は?」

「今日は〜、水曜日だから、部活かな」

「なーんだ、篠原先輩と放課後デートでもするのかと思ってた」

ニッと笑いながら、沙代が私を見る。

「……しないよ、そんなの」

そう素っ気なく返す私をみて、沙代はクスクスと笑った。

いつもと同じルートで自動販売機へと向かう。
3年C組を少し覗くと、長谷川先輩と結城先輩は楽しそうに話していた。

今日の予定でも決めてるのかな……。

なんて思いながら、自動販売機で、ホットココアを買おうとした時。

「ほい、また隙あり」

一ヶ月前と同じように、下からブラックコーヒーが落ちてきた。

こんなことをするのは、私が知る限り、たった1人。
恐る恐る声がした方を見ると、以前と同じように、篠原先輩がニッと笑っていた。