「告白しろって、言いたいんですか。私は、したところでふられるのわかってるのに、するバカじゃないです。言ったって、なんにも変わらないです」
先輩に告白をしたとして。
彼女がいるからってふられて。
またこうやって……一緒に帰る2人を眺めるんだ。
何も変わりなんてしない。
そう思うと、胸が痛んで、泣きそうになる。
ギュッと、拳を強く握って、下を向いていると、頭にそっと温もりを感じた。
「莉緒は、もうちょっと肩の力抜いていいと思うよ」
その言葉にゆっくり顔を上げると、篠原先輩は優しく私の頭を撫でる。
「……子供扱いしないでくださいよ」
「俺からしたらずっと子供だしー?」
「一つしか変わらないじゃないですか!」
「長谷川先輩だって、莉緒と二つしか変わらないよ」
「あ……」
「長谷川先輩ってすげー大人っぽいけど、莉緒からしたら二つしか変わらないんだし。男なんて、告白されたら、彼女いようがいなかろうが、嬉しいもんだよ」
先輩の言葉に、目を丸くしていると、窓の方から光が射して、少し目を細める。
「お、雨、止んだな」
先輩はそう言って、窓を開ける。
先輩の方に視線を移すと、先輩が来ている青色のパーカーが、風で揺れていた。