「な、なんですかこの結果……」

「俺、やればできる子っていうか、なんでもできちゃうんだよね」

そうしれっと言う先輩に殺意がわいていると、下校30分前のチャイムが鳴った。
そのチャイムに、結城先輩が長谷川先輩に「雨だし、今日は早く帰ろ?」と言う。

「野村達も、帰るか?」

「……いえ、私はまだ」

「俺も」

「そ? じゃあ、お先」

バカだな、長谷川先輩。
結城先輩は、長谷川先輩と2人きりで帰りたいから早めに誘ったのに……。

教室の窓から、一つの傘に2人で入って帰る姿を、眺める。

「莉緒はさ、ずっとこのままでいいの?」

「……どういう、意味ですか?」

「告白、しないん?」

「……しないですよ」

「ふーん」

篠原先輩の、いつもより少し低い声。
何か言いたそうなのに、何も言わない先輩に、イライラしてしまう。