【完】あおいろ






「ねえ、君、篠原孝くん?」

「ええ、そうですけど」

「やっぱり〜君のこと好きな女の子、私の友達に結構いるよ〜」

「ほんとっすか? 今度紹介してくださいよ」

んんん?
篠原先輩って2年生だよね、結城先輩は3年生だし……。

「あのー……、篠原先輩って、有名人なんですか?」

私がそうきくと、篠原先輩は「はあ?」と首を傾げ、結城先輩はクスクスと笑う。

「篠原君、結構モテモテなんだよ。後輩先輩同級生、みーんなから。優しいし、イケメンだし」

うーん、そりゃ、篠原先輩が顔は良いのはわかるけど……。
目は大きくて、黒髪の短髪、スラッと高い鼻。
きっと誰から見てもイケメンの部類に入るんだろう。

でも……。

「篠原先輩が優しいのはちょっと理解しがたいです」

「お前な……」

「人がココアを買おうとしてるのに、いきなりブラックコーヒーのボタン押す人が優しいとは思えませんけど」

そうキッパリ言うと、篠原先輩はハア、とため息をついた。