【完】あおいろ




翌日、天気は雨。
私はザアザア降る雨に、ため息。

なんでよりによって水曜日に……。

水曜日の放課後、私は重い足取りで3年C組に向かう。

教室の前に立つと、中から女の人と長谷川先輩、2人の笑い声がきこえた。

その笑い声に、私は思わず教室の前で立ち止まる。

ああ、やっぱり……。

グッと下唇を噛んで、ゆっくりとドアを開けた。

「お、野村、今日も早いな」

そう優しく笑う先輩の隣には、結城先輩が座っている。

結城先輩は、胸のあたりまである綺麗な黒髪を、人差し指でくるくると絡めて、私をジッと見る。

「雄二、この子誰?」

「英語部の後輩」

結城先輩は「ふーん……後輩、ね」と小さく呟く。

「今日、陸上部雨で部活なくなったから、遊びにきちゃった、いい?」

「全然、大丈夫ですっ」

水曜日にこうやって雨が降ると陸上部は大抵お休みになり、結城先輩はこうやって遊びにくる。
英語部はとくに大きな活動もしてないし、毎回だらだらとしているだけだから、来ても迷惑、なんてことはなくて、長谷川先輩も快く受け入れている。