「莉緒、帰ろうぜ〜」
「……はあ」
篠原先輩と知り合ってから、二週間。
本当にこうやって、毎日放課後教室にきて、一緒に帰ろうと誘ってくる。
そのせいで、私と篠原先輩はつき合ってる、なんてデマが出回っているらしい。
「篠原先輩って暇なんですか、バカなんですか」
「バカとは失礼な」
「私なんかとつき合ってる、なんて噂流されて篠原先輩に何のメリットもないですよ」
「そう? 俺は結構メリット感じてるけど」
「私はデメリットしか感じてないです」
こんな他愛もない会話をしながら、いつもの帰り道を並んで歩く。
「そういえばさ、一ヶ月後の予定、莉緒なんかある?」
そんな突然の質問に、私は思わず眉をひそめる。
「一ヶ月後って……そんなの入ってるわけないじゃ」
あ、もしかして、そう思ったときにはもう遅くて。
「んじゃ、クリスマス俺とデートな。はい、決定」
篠原先輩はそうニコニコ楽しそうに笑っていて。
そんな先輩の顔に、私は小さくため息をついた。