「ん……っ」
さっきよりも深い口づけ。
孝先輩の口から、そっと熱いチョコレートが流れ込んでくる。
そっと唇が離れれば、孝先輩は満足そうに笑っていて。
「……先輩、調子乗ってるでしょ」
「ばーか、乗りたくもなるっつの。そろそろ帰るか」
先輩はそう言って、私の手を取り歩き出した。
後ろから見る先輩の背中は、いつもよりずっと大きく見えて。
少しだけ見えた先輩の口元は上がっていて。
「ふっ」
「なんだよ」
「いえ、別に」
『先輩も可愛いところ、あるんですね』
なんて言ったら、たぶん機嫌を悪くするに違いないから言わないけど。
真っ赤に染まる耳をみて、そう思わずにはいられなかった。

