つまり… あなたは……
「“旧校舎”だったんだ…」
…ぽろり。
熱い涙が一つ、こぼれ落ちて後から止まらなくなる。
また私がいきなり泣き出したから、寧人が再びオロオロし始めた。
だから、私は涙声で言った。
「…あのね、寧人。
私たちのよりを取り戻してくれたのは……また、くっつけさせてくれたのは、旧校舎だったんだよ。
だって………私、今、旧校舎の声が聞こえたの。
“今までありがとう”って。
“さようなら”って。」
そういえば、聞いた事がある。
古びた校舎には、守り神のような、精霊が宿るって。
きっと、その精霊が、私たちがもう一度やり直せるように、結んでくれたんだよ。
全てを話した後、寧人は『うーん…』と暫く唸った後、軽く微笑んだ。
「……あぁ。
そうだな…」
「うん…」
私は、背後の旧校舎を見上げた。
勿論、もう旧校舎は語り掛けてこない。
届くかは、わからないけど…
「…旧校舎さん。
私ね、今とっても幸せだよ。
旧校舎さんのお陰だね」
まずそれだけ言った。
そして、またさらに続けて話す。