寧人は私の事を、まだ大切に想ってくれている…。

そう思っていたら、いきなり大きな安心感が襲ってきた。

「うぅぅ…ふぇっ……」

安心に満ちた涙。

「おっ、お前!?
何泣いてんだよ?」

寧人がオロオロし始めた。

「だ、って……
嬉しく、て…」

寧人がまだ私なんかの事を想い続けてくれてて……

「…ごめんな」

寧人は申し訳なさそうにそれだけをぽつりと言うと、私をぎゅうっと抱き締めた。

私は、泣きながらそっと寧人の背中に腕を回した。

「…寧人」

「ん?」

「……大好き」

………


私たちは、世界で一番、幸せな熱いキスをした。

「俺も……好きだよ、春華」

綺麗なグラデーションに染まった夕暮れが、私たちを明るく照らしていた。


「寧人ぉ。」

「何だよ」

手を繋ぎ、校舎裏を出た私たち。

結局、私たちが校舎裏を出たのは、グラデーションの空が暗い色合いに染まり始めた頃だった。

「春華、送ってく」

「えっ、大丈夫だよ。
寧人は私の家と、方向逆でしょ?」

「いや、送ってく。
お前、一人だと、どっかしらで転んでそうだから」

「え~、酷い!」