悲嘆にそう吐き捨て、春華は涙を溜めた目をして、その場を走り去った。

俺は、立ち尽くしていた。

叩かれた頬の痛みよりも、あんな悲し気な表情の春華を間近で見ている方が、俺の心を痛み付けた。

「…川崎君?」

美浜が不思議そうに俺の名前を呼んだ。

「美浜…」

お前の省で… お前の省で……っ!

「…もう二度と、こんな事すんな」

「えっ…
川崎君…な、んで…っ」

美浜が泣きそうな顔をして俺を見てくるが…今の俺には、そんな事どうでも良い。

春華……っ!

必死で追い掛けたが、もう春華の姿は、どこにも無かった。

「くっ……そ………っ」


…その後、卒業式の次の日に春華を呼び出し、俺から別れを告げた。

その時の春華の表情を見て、胸がとても痛かった。

それから、俺たちはずっと会っていなかったし、高校もそれぞれ他校に進学した。

高校に行っても、春華以上に心揺れる女など、いる筈は無かったし、それ所か、高校にいる奴らは、皆美浜みたいにスリスリと俺にすり寄り甘い声を出しているだけのクズ女たちばかりで、ムカついていた。


*** ***


「…と、言う訳だ」