どんなに美浜の力が強くても、男の俺の力なら振り払える筈だろ?
俺…どうしちゃったんだよ…?
でも、なんか…好きという美浜の熱い気持ちに応えられなくて、少し可哀想な気がして、その代わりにでも、って言う気持ちがあった。
…その時、後ろの方、つまり教室の扉の方で、アイツの声が聞こえた。
「…寧人」
俺の名前を呼ぶ声だけでもわかる。
アイツは…つまり……
春華…
ハッとした。
こんなのを、よりにもよって、春華に見られてしまった。
春華の表情は、怒っているような、絶望しているような…そんな表情をしていて、それでも、透き通るような綺麗な瞳は、悲し気で、それを見た俺は、その表情と瞳が、胸にグサリと突き刺さった。
謝っても、絶対に許して貰えない。
そして…そんな俺は、真顔で、張りつめた表情の春華に近付いた。
「ハハッ、何だよ春華、今日はやけに来るの早ぇーじゃないか。
俺にそんなに会いたかったのか、ん?」
何言ってんだ、俺……
思わず、笑いが込み上げた時。
…パンッ……!!
そんな音が響いたかと思えば、頬に激痛が走った。
「最っ低!!」


