「…でも、その後に…美浜から、急に呼び出されて。 それで…」



***寧人side***

中3のある放課後。

HRが終わり、俺が帰ろうとしたら、美浜が声を掛けてきた。

「川崎君。
今日さ、私ちょっと用事あるんだけど、その後に教室で少し…話があるから、待ってて貰えるかな?」

「…は?
…別に良いけど」

「ありがとう!
じゃあごめん、私ちょっと行って来る」

そう言い残し、美浜は慌ててバタバタと駆けて行った。

「はぁ…」

なんだよ…

俺、見たいテレビあったのに…


五分位経った頃、美浜が戻って来た。

「待たせちゃって、ごめんね?」

「…あぁ」

「急に、呼び出してごめんね?」

「別に…気にしてねーし」

俺がそう言った途端、美浜がいきなり抱き付いて来た。

「! お前…」

「諦められない。
川崎君が、どうしても諦め切れないの」

必死に俺に抱き付く美浜の腕の力が、どんどん強くなっていく。

「ねぇ…川崎君……どうして?
どうして、私の事好きじゃないの?」

「……」

俺は無言だった。

しかも俺…どうして、美浜を振り払わないんだよ…