モバイバル・コード

 秋の静かな夜。窓から覗く月が、いつもより大きな輝きに見えた。


 時刻は11時50分を過ぎとなり、オレ達は1時まで雷也の家にいる事にした。


 明日は本来であれば学校だけど、文化祭の準備期間で自由登校になっていた。


 慶兄が教えてくれたサイトに、一緒にアクセスしようと3人の意見が固まったのだ。



「あっと5分、あっと5分。ええっ! ねぇねぇ、ゆりながまた彼氏出来たって!! 2組の福田君と! 田村君と別れて間もないのに!」


 ルンルン気分で携帯を見つめる愛梨。


 さっきからベッドの上でうつ伏せになり脚をバタバタさせていた。


 友達の『ブログ』……というのを読んでるらしい。名前は知っていたが、日記みたいなものだと今日初めて知った。


 一方で雷也は、真剣な眼差しで携帯電話をいじっていた。


 今が勝負所なんだろうな。


 愛梨と雷也は携帯電話をいじりながら『その時』を待っていた。


 オレは雷也の部屋にあった漫画を読んでいる。


 『空の彼方』というタイトルの現代人情物語。


 漫画はそこそこ読むのでオレもタイトルは知っていた。結構人気がある作品のはず。


 独特な台詞回しだと思うが、それもキャラクター像を深めているのだろう。


 自由奔放な主人公が、どことなく慶兄に似てる気がする。