モバイバル・コード

──9月30日 午後19時20分


 いつのまに秋の夜長になったのだろう。1ヶ月前まではかろうじて明るさが残っていたはずだ。


 デジタル時計は相変わらず正確な時間を伝える。


 街灯で光る文字盤。


 慶兄から貰った腕時計は、時間を直したはずなのに、また1分ずれていた。


 自分の仕事に対するご褒美に買ったというくらいだから……安物の時計ではないはずだけど。


 オレは授業が終わり、夕方のアルバイトへすぐに向かった。


 最近始めたばかりの隣街のコンビニのバイトだった。


 17時から20時までの3時間のシフト制。


 しかし、ついて早々に、今日は他に教える人が居るので19時までにして明日また来てくれと言われた。


 まるでシフトカットのような待遇に少し不満を憶えるが、結局こうして帰って来たわけだ。


 そんなオレを襲った最大の誤算二つだ。



 『隣町から雷也の家に行った事がないということ』


 『稀代の方向音痴で生まれてしまった事』