時代の変化はいつだって早い。霧島慶二は写真をもう一度見て、呟く。



「龍一……すまないな。再び力を貸してくれるその時まで、達者で居てくれ」


 目当てのものを探す為に、その鋭い目だけを左側のデスクへ走らせた。左手で机の上にあるボールペンを掴んで、かちりと鳴らした。


 龍一の写真を裏返して、一言書き加える。


『ファントム』


 霧島慶二は書類の間に写真を挟み、その書類ごとA4の封筒に入れた。


 椅子に深く腰掛け、にやりと怪しい笑みを浮かべる。


 月明かりに照らされたその顔には、ある種の狂気が宿っているようにも見えた。



~第一部 【モバイバル・コード】 完~


~第二部 【モバイバル・ファントムコード】へ続く~