二人、いや、三人の恋物語は、まだ始まったばかり。


 現代社会の若者とは違い、その恋路は携帯電話を使って進展はしないであろう。 


 メールや電話ではなく、直接自分の言葉でその気持ちを語りかけてゆく。



 『携帯電話』の中ではなく『現実世界』だけで、少しずつ関係を紡ぐ少年達を『非効率だ』と、笑う人間も多いはず。



 しかし、少年達は教えてくれた。



 常に携帯電話を使い、最短の答えを探す事が、人生において必要な事では決して無いという事を。



 悩んで、もがいて、苦しんで。


 そうして一つの答えを自分で探し出すことも大事な事かもしれない。



 人間は携帯電話に『使われる』のではない、『使う』のだ。常に検索をする事が、正義ではないはずだ。



 遠回りをした結果、得られる物だって沢山ある。



 電脳世界に不器用な少年は、その可能性を示してくれたのかもしれない。


 多くの難題が押し寄せても、持ち前の機転と体力でこれからも時代を駆け抜けるだろう。



 もうすぐ、冬がやってくる10月の秋空。





 この数日で、確かに少年達は成長を遂げた。