「なんだ、愛梨」


 愛梨は満面の笑顔を、龍一に見せる。白い歯がきらりと光った。


「打ち間違え。大事なトコなのに、打ち間違えしてて意味が分からないよ」


「えっ、うそっ?ちゃんと書いたぜ?」


「ホント。やっぱり、口で言って」


 頭をボリボリかきながら、龍一は恥ずかしそうに、愛梨を見た。


「分かった、愛梨の気持ち、嬉しかった。実は」


──『キーンコーンカーンコーン』


「……だ。オレは、お前が、…一番………だ。これが、オレの気持ち」


「ちょ、ちょっと待ってよ、今聞こえなかったよっ!」


「なんで恥ずかしい事、2回も言わないと……まずいっ、次体育だ!着替えないと!」


 走り去る龍一の後を愛梨も追った。