少女が囲みを抜けて、小走りで少年二人に近づいてきた。憂いを帯びていた表情がすっと笑顔に変わる。


──『ギュッ』


「バカッ!学校では絶対に止めろ、止めろ」


「龍一、助けて」


「たった今、必殺の案が浮かんだから、離れてくれ」


 ドタドタと葵の後ろか何人もの男子がやってくる。


「あっ!葵ちゃん、そんな、付き合ってる……の!?」


「そんな、そんないかにも普通なヤツと……クソッ!!」


「ホンマ、勘弁してや……天使がこんなうだつのあがらなそうな男と、悪夢やで……あくむや……」


「誰がうだつがあがらない男だっ!どいつだ、言ったのは!」