「その名前は、二度と使わないって……決めたから。

わたし……どうしても勝ちたくて、色々酷いことしてた……もう、携帯のゲームはしないって決めたの。

でも雷也さんにだけは使って勝負してあげようかな…?」


「やめとけやめとけ、くだらない携帯より、今は温泉。現実世界の葵の方が、ずっとかわいい」


──『ギュッ』


「いてっ」


「龍ちゃん、葵ちゃんって……あの時の、あたしの話、忘れたの?」


 伝えたはずなのに……。面倒なことになりそうだ。


「あー覚えてる、覚えてる。とりあえず、温泉行こう」


 店を出る時、いつも思い出してしまう。あの、コンビニでのこと。


「葵、もう人生で二度とやるコトがないから、最後に1回、やっていいか?」


 オレのいたずらを実際に見た経験がある、三人の冷ややかな視線を浴びた。


「龍ちゃん、明日からビンボー人でしょ?またそんな事して……お金の神様に見捨てられちゃうよ」


「ビンボーだけど、2億より大事なモノ手に入れたから、いいだろ。店員さん、はい、お釣り要らないんで」


「はぁ……何やってんだか。この後、龍ちゃんがなんていうか分かる?葵ちゃん」