モバイバル・コード

「葵の成長にもビックリだ。お前達の影響だろう。前よりずっと明るくなっている。


龍一。


霧島会長には立場がある。


あの場でお前達に、謝る事は出来なかった。どういう意味か、分かるな?


お前達も、もう大人なんだ。今度からは、察しろ。


大人にはメンツがある。幼馴染の会長だって、同じだ。部下の俺達の前で、お前に殴らせた事が、お前達に対する罪滅ぼしだろう。


だから、政府の役人が俺しか居ない今。


会長の代わりに謝らせてもらう」



──『本当に、すまなかった』


 竜二はテーブルに額をつけて、オレ達三人に謝った。陳謝と呼ぶにふさわしい。


 ただの、『試験』ごときで、死にそうな想いをしたのに、許せるわけが無い。だけど、隣に座る愛梨と雷也が、無言でオレに語りかけているのが分かる。


 『水に流してあげよう』と。


 霧島慶二が存在している今、オレ達が憎むべき政府に対する想いは、完全に薄れた。目的を見失っている。


 関わらないと言うのであれば、それで終わらせよう。納得はいかないが。