モバイバル・コード

「理解しました。続けてください」


 雷也がオレと目を合わせてから、促した。



「葵が選ばれた理由、それは10年前にさかのぼる。

葵が生まれてから、5年後の話だ。その頃から『携帯電話』は普及していた。

だが、今よりも機能は少ないし、通話とメールしか出来ないようなシロモノだった。


政府の政策の一つに、携帯やパソコンといった、人間社会の未来を担う『電子機器』に対しての政策という物があった。


IT技術……特に、『携帯電話の使用に特化した人間を育成したい』というプロジェクト。


その頃から、俺は政府のお役人だ。俺の娘が、適合者だと、上から言われた。選抜基準は、以下の3つ。


①年齢(6歳まで)
②性別は女
③政府の高官の子供

①は、分かるだろう。小さい時から教育しなければ、意味が無い。

②は、男女の脳のつくりの問題だそうだ。

単純に、女性の脳は一度に多くの事を考える事が出来る。試すならまず『女』から。そう、上は考えた。


特に③が重要だった。

このプロジェクトは、当時、極秘中の極秘だ。今も極秘だがな。お前達に話した所で、問題無いのはなぜか分かるか?

バレても隠せるからだ。その土台を、霧島慶二は作ったから。いいな、下手な事は絶対にするな。それだけは約束しろ。

話を戻す。

内密にする為には、外部の人間の子供を使うわけにはいかない。そこで、俺の娘の葵に白羽の矢が立った。それだけだ。


しかし……俺も『プロ』だが、父親だ。


葵の将来を考えたら、話を受けるべきか受けないべきか、大いに悩んださ。


だが、受けた。


将来、こういう時代が必ず来ると分かっていたからな」