モバイバル・コード

──『キンッ』


 オレが『真紅のジッポ』に火をつけ、竜二の口元へ持っていく。


「無駄に気が利くな……このジッポ、会長の物だろ…? 捨てるつもりか」


「オレの中の『霧島慶二』は、思い出になりました。

これが最後の思い出の品です。以後は会わない、そう啖呵を切ったのは本当です」


「……あたしも、会いたくない…」


 愛梨も、やはり気づいていた。


「あ、その前に一つ聞きたいです。前に、オレ達に見せた、『胸の靴の痕』

アレは本当に霧島慶二に蹴られたんですか?」


「そうだ、組み手やっててな。マーシャルアーツの特訓相手になってた。

動画は捏造くらい、お前達も気づいただろう。まぁ、狙い通り、おまわりまで仕込んで、畳み掛けたから……まるきり信じたのは……こちらとしては狙い通りだ」


 竜二はタバコを吹かす。確かに……あの動画なんて、いくらでも捏造できるものだった。


 その後の警察の、あの警察署長で、すっかり信じ込んでしまった。


 しかし、あの警察署長も……演技では無いだろう。本当に、そういう指示が来たので……行動したと思う。