モバイバル・コード

「もういいっ!! 霧島慶二、二度とオレの前に姿を現すなよ! 携帯なんて、絶対に使わない。絶対に、だ」


──『ゴンッ』


 アスファルトに、思いっきり叩きつけた。


「分かった、姿を現さない。ただ、お前が会いたくなったら、その時は来てくれ」


「会うわけねぇだろ! クソ、くそ……」


「龍ちゃん……」


「龍一……」


 二人の声を背中越しで聞いた。涙が溢れて、止まらない。


 慶二も、心の中では泣いているのだろうか。


「会長、最後の仕事、優勝者への賞金授与が残っています。『特例』となりますが、引き分けですから、1億ずつで宜しいのでしょうか?」


 竜二の落ち着いた声が、どこか遠くで聞こえる気がする。


「そうですね、引き分けですから1億ずつで。レイさん、ケースは二つありますか?」


「はい、車にございます」


「そうですか、では持ってきていただけ……」


「要らねぇよ…!バカ野郎! 葵、要らねぇだろ、こんな、こんな金っ!!」


「……うん、わたしは龍一に、龍一に従うからっ!」


「親友が、愛梨がボロボロになっているのに、お金の事なんて考えられない。僕も要らない」


 ナツキ、ユウマ、レイ、竜二、霧島慶二。

 
 5人が閉口したまま、時間が過ぎた。