モバイバル・コード

 憤りと、裏切られた悲しみを隠す事が、どうしても出来ない。


「謝るなよっ!謝るくらいなら、こんな面倒な事に巻き込むんじゃねぇよ!!オレ、愛梨が本気で死んだと思って、それで……それで…」


 言葉に詰まったオレを見かねて、雷也が話を続けた。


「僕も……兄さんの事は尊敬していた。コンプレックスはいつも胸に焼き付いていたけど、兄さんの事を信じて、追いつこうとしていた。

色々、言いたい事は山ほどあるけど、死んだ動画まで送りつけて、人を動かそうなんて間違えてる」


 霧島慶二は、悲しい目をした。とても、悲しい瞳で、空を見上げた。


「悪かった。だが、お前達は期待通り答えてくれた。これで、政府の『プロジェクト』も大きく動き出す。具体的な話がやっと出来るようになった」


「人をモルモットにしておいて、そんな事しか言えねぇのかよ……政府って、モバイバルってそんなに大事なのかよ……霧島慶二っ!!」



──『大事なんだ』



 芯の通った声。


 慶兄が、覚悟をしている時の声だった。