モバイバル・コード

 心臓が、痛い。ズキりと、確かに刺さる。


 焦りと、冷や汗と、全てが入り混じったまま、進む。そして、愛梨は単純なミスを繰り返す。


 女の子に文句を言うなんて最低だ。だから、オレは、耐えて耐えて、極力、ミスを流していた。


 『無言』という、ろくでもない方法で。口を開いてしまえば、自分の中から吹き出ている黒い感情が一気に飛び出してしまう気がして……。


 オレと愛梨は、必要な伝達事項以外は、無言で進み続けた。


 途中、雷也は、オレ達に干渉しないように、意図的にメッセージを抑えている事には気づいていた。


 現場の焦り同様、雷也が待っている、孤独なゴール地点でも、焦りを感じていることはわかる。


 それでも雷也が出来る事は、携帯を見続ける事と、最後の『ヒント』を獲得する勝負まで、集中している事だけだった。


 時折届く『マモル』からの煽りメッセージ。


 必ず勝つという、決意表明を何度も送信された。それに対して雷也も反論しているようだが、オレ達と『マモル』チームとの差は少ししか縮まらない。


 向こうも苦戦しているのは分かっている。進む時間が遅くなっているからだ。


 残り時間が『4時間』の時点で、『マモル』チームは『チェックポイント7』で止まっている。


 亀裂が入りかけているチームワークで、遂に『チェックポイント5』に到達し、先を進んでから40分後。そろそろ、6に到達しようという時。


 スピーカーから『マモル』達が『チェックポイント8』に到達した事が、告げられた。


 後は、9と10。