モバイバル・コード

 残り時間が『9時間10分』


 こんな時間、表示通りとは受け取れるわけが無い。例えば『10分前』で完全に謎が解けたとして、10分で、右左の区別も簡単にはつかない、この迷路を走り抜けるなんて不可能だ。


 大きさがどれくらいのものか分からないが、最短でも1時間は歩くと思う。ましてや、先を行く『マモル』のチームだって居るわけだ。


 実際の猶予は『2時間』も無い。


 親友はこんな時にオレとシンクロしたかのような連絡を送ってくる。


──『ブブブーンブブブーン』

──【 メ ッ セ ー ジ 】──
■『L1ar4584』より■

【龍ちゃん、愛梨。残りが9時間になるけど、実際の時間は9時間もない事に気づいているよね?

僕も、焦って携帯をすべり落とした……何も役に立てていない。

なぜ、この場所に居てナビゲーターをしているのか分からないよ】
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 雷也のメッセージを確認し、愛梨に頼まずに自分で『わかってる』と返信する。

 
 一応、右手を壁についた、『一筆書き歩行』を再開しているが、進んでいるにしても本当に少しずつだろう。


 オレ達の推理は、どこか近い所まで来ている。この『妨害装置』は、本当にオレ達のアクセスを制限する為だけにあるのか……?


 なぜか、妙に引っかかる。雷也の言葉を聞いてから、ずっと引っかかっている。原因が何かも分からない、だけど、ここに何か落とし穴がある気がする。