モバイバル・コード

 雷也だ、雷也と話す。二人だけでは、進まないだろう。


「愛梨、雷也にオレの言葉を、打ってもらえるか?」


 愛梨に口頭で文章を伝え、雷也へとメッセージを打ち込んだ。オレの携帯にもその文章は届いている。


【龍ちゃんから。このままだと100%負ける。手をついて歩けば、何か分かると思ったけど……そんなに甘くはないようだ。

どうすればいいのか雷也の今思っているコトを聞かせて欲しい。オレは、さっきから聞こえる変な音の正体が知りたい。】


 画面は『既読』と表示された。メッセージの受信と閲覧を、オレに伝えている。雷也も携帯を操作し、オレ宛てにメッセージを送っているようだ。


【僕が思っている事は、的外れかもしれない。ただ、龍ちゃんや愛梨が何かを思いつくかもしれないから、書く。最初は、スピーカーの配置や、壁の配置。そこから導き出される規則的な迷路じゃないかと思った。

携帯で通信をしていても、外部のサイトにはアクセス出来ない。『モバイバル』関連のサイトにはアクセス出来るんだけど……。

だけど、僕が無理矢理、そう思い込もうと捻じ曲げてるように思えてきたんだ。】


 雷也自身、気づいている。思考が止まった事に。無理矢理答えに捻じ曲げようという事が、正しいとは思えない。


 だが、オレには雷也以上に何をすればいいのか分からない。


──『グォン……』


 くぐもった音は、オレの真後ろの壁から、聞こえた。