モバイバル・コード

「ちょ、ちょっと……いきなり立ち止まらないでよ、龍ちゃん」


 ドンっと、背中越しに愛梨の重みを感じたが、今はそんな事を気にしてはいない。


──『フォン……グォン…』


「愛梨、重低音聞こえるよな…?」


「あ、あたし自分の心臓の音かと思ってた……聞こえるよねっ!?」


「バカっ、心臓の音がこんな……冷蔵庫みたいな音するのかよ」


 本当に集中すれば聞こえる程度の音量。それも、不定期に聞こえてくる。


「この音が何の意味を成すのか突き止めれば、突破のヒントになるかもしれない」


「確かに……おかしいね。どこから聞こえてるんだろう……」


 どこか遠くで聞こえているような、だけど近くで聞こえているような。


──『ブブブーンブブブーン』


 携帯がメッセージを届けてきた。