モバイバル・コード

「人のコト、変な監視して楽しんでやがる……本当に、クソッタレなゲームだ」


 二人を殺したくは無い。このまま負けてしまえば、オレはどうでもいいが、二人が死ぬ事になる。慶兄の仇だって……。


「愛梨、休んだ、もう行こう。少し早歩きしていこう。ただでさえ大回りなんだ、急がないと」


 腰をあげて再びラビリンスを彷徨う。雷也任せにばかりは出来ない……ただ、仕掛けは必ず『携帯電話』に関する何かだ。


 役立たずのオレに、何か出来る事があるのか。


 壁伝いに歩く速度を早めるが、全てが白い為、10歩も離れた位置から遠くの壁が行き止まりなのかどうか分からない。目の前まで行って、壁で行き止まりだと気づく。


 非効率極まりないこの戦法に、苛立ちを隠せない。無言のまま10分歩き続けた。


 立て続けに行き止まりにぶつかっていた時。ある違和感に気づいた。


──『音』


 この迷路、オレと愛梨が歩く音だけが聞こえていた。そこに、新しい音が加わっている。


 狭いダンジョン構造になっているその理由の一つとおぼしき物に、オレ達はイマ、遭遇している。


──直感9割 迷い1割


 いや、10割だ。これは、気のせいなんかじゃ、ない。