モバイバル・コード

 携帯が振動し、軍師からの文が届いた。


【通信データが、普通の『ダムスポ』の何百倍になっているよ。今、試しに『Wi-Fi通信』に接続したり切ったりしてるけど、『Wi-Fi通信』の時に携帯電話は、膨大なデータを受信している。

電池を減らす為の、罠としか思えない。二人は進んでる?愛梨、一度データが欲しいから送ってもらえる?僕の考えはまだ固まらないし、色々と調べ物をしている】


 これは楽しい最終戦だ。騙しアリ、煽りアリのなんでもアリの状況。


「イジワルな事するなんて、ホントむかつくよねっ」


 振り返ると愛梨が床にお尻をつけて、壁にもたれかかっていた。


 オレは対面に背中をつけて、あぐらをかいた。携帯を見ると、残り時間は『10時間35分』だ。未だに、具体的な方針も何も決まっていない。


「歩き始めて……1時間くらいか……。とりあえず3分だけ、気持ちを落ちつかせてまた進もう。雷也は必死になって頭を働かせてる。オレ達も何かを考えないとな」


「全く進んでいる気はしないよ……焦っちゃダメなのは分かるけど、この狭い空間で…変な匂いもするし、生理的にイヤな気持ちで胸がいっぱいだよ」


 愛梨の言ったとおりだ。室内は少し寒いくらいだが、体温は上昇している。愛梨の頭上にあるスピーカーは、カメラ付きのはず。社長がぶっ壊したくなる気持ちも分かるな。