モバイバル・コード

 携帯をパッと見る。流石に、この機能だけは、外してはいけないことくらいオレだって分かっていた。


「北が……コッチだから、今逆戻りしていたんだね」


 スタート地点はキレイに『南』からスタートしていた。


 となれば、おそらくゴールは『北』方面だろう。一番最長距離が、ゴールである。


 という『先入観』は、罠かもしれない。きっと雷也は考えていそうだ。『西』や『東』がゴールでもおかしくはない。


 だが、これは迷路だ。仮に北がゴールだとして、北に向かう通路に向かえば道がある訳じゃない。


 南から大回りしなければ北へ向かえずに行き止まりにぶつかることだって、大いにあり得る。というか、それが迷路。


「もう入ってから1時間経過した……向こうのチームは進んでいるのか」


「進んでないと思うよ、だって両チーム共に連絡が届くはずだよね?」


 そうだ、ルールに書いてあった。10箇所のチェックポイントを1つでも超えると全員に通信が来るって……オレ達だけじゃないんだ。


 何気なく携帯を見る。愛梨に全ての連絡は任せてあるから、自分でメッセージを打つ事はしていない。


「なっ!!おいっ!!」


 オレの声が、壁に反響して響いた。


「え!?どうしたの?」


 覗き込む愛梨に、ある一点を人差指で指し示した。


──『電池残量』