モバイバル・コード

「100mくらいありそうだね……もっとあるのかな……奥も白くて遠近感が全く掴めない」


 愛梨の声を後ろに聞きながら、歩みを進める。少し違和感を感じた。


「そんなに長くない、白いから分からないだけだろう。なぁ、なんか匂い……しないか?」


「確かに、甘い匂いがするけど……あたしはあんまり好きじゃないかな」


──『ブブブーンブブブーン』


 『マモル』からのメッセージはもう止めろよ、ホント。


【龍ちゃん、何か分かったらすぐにメッセージ送って。僕も『マモル陣営』に『アタック』かけてみる】


 『アタック』か。一発キツいの頼むぞ。


「愛梨、そろそろ曲がり角に来る。しかし、音も何もしないし……直線だから良いけどグネグネしてたらすぐに酔いそうだ」


「ホント、少し蒸し暑くて……上着、脱ごうかな……」


「まだ、何があるか分からないから着ていた方が良い」


 わずかな陰影と、おそらく……カメラ付きと思われる黒いスピーカーが天井に設置してある事で、先にあるのが廊下の端だと分かる。近づくに連れてスピーカーの左側に道がある事が分かった。