モバイバル・コード

「おい、泣くな。今から戦うのに泣いてどうする」


「うわぁぁあああっ!!」


 愛梨が胸元に飛び込み、それを受け止め……少しだけその艶やかな髪を撫でる。


 もう、分かってるよ。


 10秒後か20秒後、このひと時に最悪な合図が飛んでくるって。


「なぁ、愛梨、オレ達がこうするだろ?」


 上目遣いでオレと目が合う。どうして泣き顔の女の子って、可愛く見えるんだろう。卑怯だと本気で思う。


「…うん」


「ジャーンっ!コイツが今に振動するっと!」


「……うん」


「そうしたら楽しい最終戦が始まるよっと!」


「………うん」


「もっと面白いリアクションしてよ。バカみたいじゃん、オレ」


「んもうっ!もっと女の子の心を一発で落ち着けるすっごい魔法あるでしょっ!龍ちゃんのくだらない予言なんてどうでもいいんだからっ!」


「なんだよ、魔法って!?予言した方がよほど面白いだろ!」


 そっと、愛梨が目を閉じた。