モバイバル・コード

 別の入り口が本当はあるのではないかと思ったが、周りを見渡してもオレ達が今通ってきた狭い通路以外に入り口は無さそうだ。


 となれば、本当はこの豪華な扉が『出口』で、この細い通路が出口なのでは…と考えたがそれもおかしい。なんでこんな豪華な扉の出口が、非常扉みたいなチンケな所へ繋がるのだろう。


 考えれば考える程、変な事しか浮かばない。答えは作ったヤツは変人だってコト。それでいい。


 オレがくだらない思慮を巡らせている間にナツキが話を続けていたようだった。


「……だから、先に入ってもらうわよ」


「悪い、雷也、今ナツキさんなんて言ってた?聞いてなかった」


 雷也は少し目を細めた。


「だと思ったよ。龍ちゃん考え事する時に明らかにぼーっとしすぎ。その癖直した方がいいと思う。下の順位の僕らが、Aの部屋とBの部屋のどちらかの扉を選んでもいいとさ。先に入って欲しいらしい。『後ろ』がつかえてるんだって」


「後ろ……まさか、もう後ろにヤツが、『マモル』が居るのか?」


 雷也がしっかりと頷く。オレの鼓動が強く脈打つのが、自分で感じ取れた。


 見たい。凄く。