モバイバル・コード

 車がゆっくりと、その速度を落とした。


──『ウィーン』


 機械音と共に目の前のシャッターが格納されていく。天井にしっかり格納されたようだ。


 窓ガラスもクリアになり、スモークのみを通して外の景色は見えた。

 
 ここは……トンネルの中なのか?


「着いた。降りろ」


 レイに促された雷也は、後部座席のスライドドアを開けた。愛梨も反対側から降りる。


 やっぱりそうだ。車はトンネルの中を通ってきたのだろう。比較的新しいと分かるのは、この道路の白線だ。


 タイヤの跡など……ほとんどない。このトンネルは、普通のトンネルじゃないな。関係者用のトンネル。それに、車が停まった位置にある鋼鉄製の扉も新しい。知らない人間なら通り過ぎそうな場所だ。


──『A/B用 扉』

 
 扉にはそう書かれていた。